星めぐりの町

 

感想

愛知県豊田市を舞台にした作品。実際に豊田市を中心に、近隣市・岐阜の一部で撮影されました。

自然や歴史に溢れる町並みや発展を続ける工業地帯、地元に住む人々などが比較的オープンに映し出されています。

豊田市と監督が企画して実現した映画だからです。

 

映画のテーマのひとつとして、心の再生があげられます。

ある日、生まれ育った豊田で豆腐職人として生きる勇作の元に、東日本大震災で家族を失った少年がやって来ます。

数年前に亡くした妻の親戚だという少年にとって、勇作は最後の頼りの綱でした。

不器用だけど優しさと温かさに満ちた勇作や様々な人々と関わっていく中で、生きること、その素晴らしさを少年は思い出していく。。。

 

監督を務めたのは、英二やとんぼなどのドラマ、蝉しぐれなどの映画で知られる黒土三男。

脚本家としても活躍しており、監督自身、東日本大震災で千葉の自宅が被害を受けた。その時の心情や経験から描かれる物語には説得力があります。

天災を過去のものとしてや、単なる物語のきっかけとして扱っていないところが映画の随所に見られることからも、監督が伝えたいことが鮮明に強く感じられました。

主演は小林稔侍。意外にも今回が映画初主演である。彼の放つ独特な存在感がより一層引き立っている。不器用でまっすぐな男。

まるで高倉健を彷彿とさせるような姿です。

 

少年を演じたのは、実際に豊田市内に住む一般の少年。

監督自らがオーディションで選出したそうです。

その表情や雰囲気を感じれば、多くの参加者の中から選ばれたことに納得できることでしょう。

 

ベテラン俳優と新人の少年。

相反する二つの要素を映画として組み合わせることはかなり難しいことだと思いますが、これ以上ない組み合わせになっています。

強さと弱さ、深い愛情、不器用さ。

改めて映画の良さを感じさせてくれる。

今までに見たことがないような、心が温まる物語を多くの人に味わっていただきたいです。感想